クリスティーズとサザビーズを訪問してきた

ロンドンのオークションハウス

最近もっと美術について見識を深めたいという思いからロンドン在住のとある先生が行っていらっしゃる美術史講座にお邪魔させて頂いているのですが、その一環で先週末にクリスティーズサザビーズに訪問してきました。

クリスティーズサザビーズ、ご存知の方も多いかと思いますが、世界中で名を轟かすロンドンの2大オークションハウスです。どちらも200年以上続く由緒正しき競売場で、美術品だけでなく各種アンティークや宝石なども取り扱っています。価格帯は庶民でも手が届くものがないわけではありませんが、メインはやはり高価格帯のようで、億をゆうに超える商品が多数出品されていてまさに富豪たちの遊び場という印象。

今回の趣旨はもちろん競売品を競り落とすことではなくて、近々開催されるオークションのビューイングとして展示されている作品を鑑賞して雰囲気を味わいに行くのが目的です。

ちなみにこの2つのオークション会社についてはみんな大好きチェコ好きさんも以前に書評としてブログに書かれています。
 

クリスティーズ

最初に訪問したのはクリスティーズ。何軒かロンドンにあるのですが、今回訪れたのはMayfairにあるところ。ここは入り口左手に小さなカフェがあるのですが、なんとただでコーヒーとクッキーが頂けるというホスピタリティ。これ別にオークション興味ない人でも勝手にコーヒー飲んで帰れるやん。。と思いましたが、扱っている商品を見てみると無銭飲食者がいようが全く気にならないほどの価格帯なので納得。

コーヒーを飲み終えてから中へと進む。なかなか落ち着いた雰囲気です。
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入ってふと目にとまったこの作品。
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きれいだなーと思い価格帯を見てみると・・・
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落札予想価格1.5M〜2.5Mポンド・・・すなわち2.7億〜4.5億円!こんな高価な作品が何の保護もされず壁に立てかけられているのです。しかも触って状態確認もしていいようで、億越えの作品をペタペタ触っていくおじいちゃんもいたり・・・なんということでしょう。
 
価格もそうなのですが、普通に綺麗な作品が多くて鑑賞していて楽しいです。一部美術を学んでいる人なら分かるくらいの知名度の画家の作品も置いてあったり。オークション作品の下見といえど、美術館同等の満足度を味わえます。

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さて、もう1つ妙に気になったこの作品。写真だとわかりにくいですが、すごく細部まで描き込まれていて、キャンバスではなく紙に描かれた作品です。

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気になるお値段はというと・・・
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4M〜6M!すなわち日本円換算すると7.2億〜10億円・・・。確かに16世紀に描かれた割には保存状態がすごく良くて、紙も変色してないし絵の色も非常に鮮やかなのですが、そこまで価格が跳ね上がるものなのかとただただ驚愕するばかり。この日見たクリスティーズの作品ではこの絵が一番高かったです。

他にもきちんとアンティークもおいてあったり、
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綺麗な絵もたくさん飾られていました。
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ちなみにこちらの絵はブリューゲル二世。
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価格帯は1M〜1.5Mポンド。これも約2億円くらいなので驚愕の価格のはずですが、上のうさぎの絵を見た後ではこんなものかとかわいく見えてきます。。
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奥の方には印刷物もありました。
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こちらはゴヤのものです。
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これは有名なデューラーのやつ。
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サザビーズ

かくしてクリスティーズを満喫した後はサザビーズへ。こちらもMayfairにあるのでクリスティーズから歩いていける距離です。12月ということで入り口はクリスマスムード。
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中はこんな感じ。ここは確か実際に競売が行われる部屋のはずです。美術館のようですが、スーツのスタッフときちんとした格好の紳士淑女が多く、セレブな雰囲気が立ち込めています。
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ここもまた美しい絵が多くて。本当に鑑賞するのが楽しいです。
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ちょっと中に進んでいったところには何とコンスタブルの絵がありました。この絵、先生曰く何回かオークションに出され、その度に値段があがっていっている代物らしいです。コンスタブルらしく、イギリスらしい雲り空と牧歌的な風景がとても印象的な作品です。
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気になるお値段はと言いますと・・・
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8M〜12Mポンド・・・。14億〜21億円です。もう固まるしかありませんでした。。こんなに高価なものをこんなに至近距離で見れるのにむしろ感動です。

その他にも色々な作品があるなーと楽しんでいたところ、今度は何とターナーの作品が。こちらは先生が気に入られていた晩年の作品。青がとても美しく、どこか幻想的で奥ゆかしさを感じる絵です。
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こちらの2つもターナーの作品。
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ターナーは好きな画家なので美術館以外でお目にかかることができてとても嬉しかったです。もう価格には言及しませんが、コンスタブルの絵の方が高かったです。
 
他の作品シリーズ。

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もちろん食器などもありました。
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意外に楽しいオークション会場ビューイング

というわけで初のオークション会場訪問となりましたが、本当に楽しかった!結局飾られているのは美術作品がメインなので、美術作品をゆっくり鑑賞しながらたまに価格を見て驚愕して・・・という一連の流れが無性に愉快でした。しかしこんな高価なものを購入しちゃう富豪たちってどんな人たちなのか。先生曰く、こういった絵画を購入していくのはほとんどアラブ人の大富豪たちだとのこと。やはり投機目的が多いようですね。今回見たのも十分に驚愕の値段でしたが、現代アートになるとさらに値段がつり上がるとか。

自分は今後の人生においても「買う側」には回ることは出来ないんでしょうけど、そういったアート市場の動向を含め「鑑賞者」という立場から観察していくのもなかなか楽しいんじゃないかなーと思ったり。いずれにせよ、自分の絵画への興味をさらに引き上げてくれたオークションハウス訪問でした。

誰にでも公開されているので、普通の美術館に少し飽きてきた人はこういったビューイング会に顔を出してみるのもいいのではないでしょうか。