Hof van Cleve

旅行記が更新出来ていない状態が続いておりますが、ちょっと休憩ということで先週末のお話をば。

この前の土日にロンドンから同期が2人うちに遊びに来ていたのですが、もうすぐ帰任予定の同期たってのお願いでベルギーまでフレンチを食べにいくことに。それもただのフレンチではありません。ゲントという街の近くのど田舎にぽつんと存在する知る人ぞ知る名店、ミシュラン三ツ星で更に2013年の世界ランキングで25位を勝ち取ったという超高級レストランです。

Hof van Vleve

The World 50 Best Restaurants

ミシュランなんて今まで一つ星に入ったことあるかないかくらいの自分。いきなりそんな飛び級してしまっていいのか、いやその前に明らかに場違いな場所に足を踏み入れてしまっていいのかといった葛藤があったものの、せっかくの機会ということで男三人勇気を出して乗り込むことに。服装は熟考したのちスーツではなく、限りなくフォーマルに近いビジネススタイルを選択。(ジャケット+黒のチノパン)

この日は濃霧による悪天候でフライトが遅れたり到着地が変更になったりというアクシデントがあったのですが、そういった苦難を乗り越え何とか14時過ぎにレストランに到着。

レストランの周りは何もないと聞いていましたが、本当に言葉そのままで周りに家はほとんどなく、畑に囲まれた敷地にぽつんとレストランが建っていました。入り口はこんな感じ。

写真 2013-11-16 14 13 03

お気づきでしょうか、敷地内にならぶ高級車。ポルシェはアウディはもちろん、普段は見かけない車に無知な自分が初めて知ったような車種もちらほら。入る前から緊張でガチガチになりました。

どういう顔して入っていけばいいのか良く分かりませんでしたが、とりあえず「ええい、ままよ!」という覚悟で精一杯動じていないフリをして入場。ドアを開けると、スーツでびしっと決めたお店のスタッフの方々が笑顔で迎えてくれました。なんやこいつらって目で見られないかなと心配してましたが、さすが高級レストランのスタッフ、ホスピタリティ満載です。

そのまま奥の方の席に通されましたが、当然の如く満席。お客さんはビジネス客っぽい人から家族連れまでいましたが、ほとんどの人がスーツを着てフォーマルな格好で食事を楽しんでいました。女性も結構気合いの入ったドレスコード。スーツは逆に気合入れ過ぎかなと思ってやめておいたのですが、スーツでもちょうどいいくらいの感じでした。

とりあえず案内された席に着席し、メニューを拝見。メニュー自体は何種類かのコースメニューとアラカルトがありましたが、当然値段はランチをチョイスしたもののべらぼうに高く、完全に未経験ゾーンでした。せっかくの機会なのでということで、一番高かった5コースのメニューを3人ともチョイス。アルコールは頼むほど財布に余裕はありませんでした。。

コースを注文後、料理が出てくるまではお通しのような形で前菜がいくつか出てきました。下の写真はそのうちの1つ。ムール貝と色々な具材をジュレに絡めて、それが黒いビスケットの上に乗っています。3人とも黒いのは貝の殻だと疑わず中身をスプーンですくって食べていたのですが、3人とも黒いのを残してたら店員さんに「これビスケットだから食べれるよ。」と言われ初めて気づくという体たらくっぷり。。この時点で既に先行き不安でした。笑

写真 2013-11-16 14 22 12

お通し(って言っていいのか分からないですが)の数品を食べ終えると、コース料理に移行。上述の通り5コースをチョイスして、前菜×2(実際は3品くらい出て来た) 、メイン×1、デザート×2という構成でした。気後れしてしまい全てを写真に収めることは叶いませんでしたが、次の写真は実際に出て来た料理の一例です。

SCALLOP 'ERQUIY ST-BRIEUC' 写真 2013-11-16 14 45 10

HARE 'SADDLE-SHOULDER'写真 2013-11-16 15 33 19

CHOCOLAT 'FORTINA' 65% 写真 2013-11-16 16 09 54

今更ながらどうせ撮るなら全部写真撮っておけば良かったと後悔。しかし写真だけで雰囲気が伝わると思います。こういったおよそ身の丈に合わないような極上の料理を約3時間という長い時間をかけて堪能しました。食べ終わることにはお腹も心もぱんぱんに満たされました。

こうして無事コースを終えることが出来たわけですが、このレストランに行ってきた感想をどうだったかと聞かれると自分はこのように答えています。

「美味しいとかそういう次元を超えていた。」

というのも、普段食している料理とは明らかに異質なのです。今までに味わったことのないような風味なので、自分の物差しでは美味しいとかそういうコメントを発すること自体が不可能でした。まさに測定不能。ただ1つ言えるのは、味の深みが半端なかったです。たまに漫画とかでそういう描写がありますが、本当に口に入れてから3、4回くらい味が変化するのです。食材の組み合わせも何回も何回も趣向を凝らして練り出した答えなんだろうなというのが凄く伝わってきました。また、食材自体も食べたことないようなものが多く、美味しいものを食べたという感覚より異質な体験をしてしまったというインパクトの方が強すぎました。

一言でまとめると、ここに来るのは20年くらい早かったということです。笑

あと、難しかったのはテーブルマナーですね。1品1品ナイフ、フォーク、スプーンの3つを出されたのですが、どれを食べる時にどれを使えば良いのか良く分からない。食べ終わったらどういう順番に並べれば良いか分からない。という有様。

かなり身の丈を超えたチャレンジをしてしまいましたが、このランチは自分の中で大きな経験値となりました。高級料理を楽しむためにはまだまだ勉強が必要だと分かりましたし、マナーも身につける必要があると感じることができましたし。

もう少し歳をとって、お金も出来たら、また改めてここを訪問してみたいなと思います。

Hof van Cleve、本当に素敵なレストランでした。スタッフの皆様、貴重な経験をさせて頂き誠にありがとうございました。